さて、これで僕がどうして普通に生きていけないか。そして花沢がどれだけ恐ろしいか皆わかったと思う。だから今から僕は思い出したくない記憶。そう、本題である「人生最大の不幸」について語ろう。

ある日、うちの学校でバイオハザードが起きたんだ。
この事の詳細は公開すると色々まずいらしく、日記であっても書く事ができない。ただ言えるのは、花沢が関わっていたらしい。そのお陰で一ヶ月ほど学校が閉鎖されて花沢を見る機会が減ってくれた。僕はその間毎日が楽しかった。
勉強から開放されてじゃない、もちろん花沢から開放されてだ。
正に幸運、幸せ、僥倖、夢のような日々だった。しかもこの幸せな時間というのは学校がはじまってからも続いた。
もちろんあの花沢を見る機会が復活してしまったり、大好きなカオリちゃんに不幸が起きるなど多少酷い事はあったけどそれは突然起きた。
何と下駄箱の中にラブレターが入っていたのだ。
宛名はH、そして内容は軽く三つの事が書いてあった。
昔から磯野君の事を見ていた。日曜日デートがしたい。恥ずかしいから誰にも言わないで欲しい。

こんな感じの内容だ。
僕はピンときた、早川さんだ。前々から僕をエロイ目で見ていた気がしていたからこれは間違いないと思った。誰にも言わないでと書いてあったが、僕は興奮していたせいでこの事を真っ先に友達の中島に電話した。
今思うと中島は「そっか」「よかったな」「がんばれよ」と言った凄く適当な返事だった。
いや何より酷く気の毒そうな感じの返事だったんだ。
そうだよな、これから起きる事知ってれば誰でもそうなるよな。
僕はデート前日夕飯を食べたらすぐに寝た。
女子との関わりが皆無だった僕にとっては本当に嬉しかった。
なんせ僕と挨拶した女子が次の日から学校に来なくなって、一週間後には家族ごと引越ししちゃったんだよ。
大体何があったかは想像がついたが、証言者曰く「色目使う淫乱は学校にはいらないわよガハハハハ」とか叫んでたらしい。
こんな酷い環境下で、ましてやデートだなんて・・・僕は最高に興奮していた。その頃はよく性の知識はなかったものの勃起していたのは覚えている。
そしてついに朝がきた。僕は興奮で落ち着くことができなかった。歯磨きも何回もしたせいで、歯茎から大量に血が出てしまった。
顔も洗いすぎて途中指が目に入ってしまった。
それからマスオさんにデートについて教えて色々指南してもらった。
「花束を用意して渡したら間髪入れずにキスをするんだカツオ君！」
その時は舞い上がっていたから、特に気にしていなかった。
というかこんな馬鹿げた話しも信じてしまった。
僕は貯金箱を割るとその金でバラの花束を買ってきてしまったのだ。
今冷静に考えてみればマスオさんみたいな恋愛経験があまり無い人間に聞くより、危険な恋愛をいまだにしてそうなノリスケおじさんに聞けば良かった。
僕はマスオさんの助言の通り、バラの花束をもっていた。回りの人が僕を白い目というか・・・小ばかにしたような目で見てる気がしたけど気にならなかった。だって今までろくに「女」という生き物と、関わりをもつ事ができなかったんだよ？
僕は早川さんにキスをする想像や練習をその場でいっぱいした。今思うと勃起しながら口を尖らせて、早川さんとﾊｧﾊｧ言いながら言う小学生いたらそら引きますよね。
そんな馬鹿な事をしていたお陰で一体時間がどれだけ過ぎたか何てもうわからなかった。
しかしそんな馬鹿な事な妄想をある一言が終わりに導いてくれた。
「い、磯野くぅ～～～～～」
早川さんだ！このバラを渡して唇をうばふぉ！？
あの時は不覚にも声で気付かなかった。
しかしその姿を見れば嫌でも気付かなければいけなかった。
そう、そこにいたのは・・・・花沢だ。
姿は黄ばんだメイド服、どっかの神社の鈴、あと黒いような変な三角の物体を頭につけていた。
前中島の家で見たアニメのキャラと似ている・・・いやそれは作者さんに対しての冒涜だ。
ほんと奴はモンスターだ、悪だ、人類の敵だ、脅威だ。
僕は声がでなかった、この悪の前で震えるしかできなかった。
そしてどこかで見たメッセージを思い出したんだ。
「僕を見て！僕を見て！僕の中のモンスターがこんなに大きくなったよDrテンマ・・・・」
でかくなりすぎたな・・・。
「助けて！僕の中のモンスターが破裂しそうだ！」
頼む破裂してそのまま死んでくれ。