中島追跡日記

｢はぁぁぁぁぁぁっ！！｣｢ジャッ！！｣
遂に二人が正面から激突した。
二人は、ほぼ同時に拳を突き出した。
単純な破壊力なら花沢の方が上だろう。
だが二人には決定的な差があった。
リーチだ。
腕の長さは大人のサザエの方が当然上だ。
サザエの拳が花沢の顔面にめり込んだ！！
さらにサザエは、手を緩める事無く花沢の体に連打を浴びせた！！
それも眉間、人中、水月といった急所にばかり、ピンポイントに叩き込んだ！！
普通の人間なら悶絶するか、最悪死んでいるかもしれない攻撃だ。
だが花沢が普通の訳が無い。
花沢は倒れるどころか、折れた前歯を吐き出しながら｢ガハハハハハハ｣と笑い、屁と同時に黒煙を噴き出しながらサザエに対し体当たりをしかけて来たよ。
しかしサザエも予想していたのか花沢の体当たりを僅かに体をずらし、捌き足払いをくらわした。不様に地面を滑る花沢。サザエは情け容赦無く、花沢の無防備な後頭部に蹴りを叩き込んだ！！

花沢に連続攻撃を浴びせるサザエ。
ま、まさかサザエがこんなに強いなんて。
さすが、視聴率に対し露骨にシビアな上アニメにとてつも無く不誠実な、フ○テレビで何十年も主役を張っているだけの事はあるぜ！！
勝てるかもしれない。
あの暗黒の寄生虫花沢を本当に処分できるかもしれない。
その時花沢が突然立ち上がり振り向きざまに蹴りを放った！！
しかしサザエは、すでにその場にいなかった。
どこいった？
ズ・・・ズ・・ズ・ズズなんだこの音？
ズズズズズズズズッ！！この音でかくなってきているぞ！！
おまけになんだこの振動は！！
そして公園の入り口を吹き飛ばし巨大な物体が現われた！！
あれは・・・・・
ロードローラーだ！！

｢死ねっ死ね死ね死ねっ死ねぇぇぇぇぇっ！！｣サザエはそう叫びながらロードローラーで花沢をひき殺そうと猛スピードで向かっていった！！
だが花沢は避けるどころか、なんと逆にロードローラーに向かっていった！！
ドゴォォォォォォォン！と轟音の後、俺が見た物それはロードローラーを正面から受けとめた花沢の姿だった！！
さらに花沢は｢ぬぅぅぅぅぅぅんっっ！！！｣と気合いの声と｢ばっすぅぅぅぅぅん｣と屁の音を響かせながら、ロードローラーを頭の上に持ち上げたのだ！！
だがサザエは、それすら予測していたのか素早く地面に降り立つと手にしたバケツの中身を花沢にぶちまけた。
この匂いは・・・・・
ガソリンだっ！！
そう思った瞬間サザエはまるで呪文のように、
｢火の用心、マッチ一本火事の元｣とつぶやきながら火の着いたマッチを花沢に投げ付けた！！
｢ぎゃあああああああああああああああっ！！｣一瞬の内に火ダルマになる花沢。
さらに苦しむ際、手を動かした物だからそのままロードローラーの下敷きになった。火ダルマにされた上に、ロードローラーに押し潰され、さすがの花沢もピクリとも動かなくなった。
しばらくすると火も消えかかりサザエは花沢に近づき二、三度踏み付けた。
それでも花沢は動かない。
ようやく安心したのか、サザエは｢シンス　ナウワールド　イズ　マイン｣と叫ぶと大笑いした。やった！！遂にあの悪魔が死んだのだっ！！
あの悪魔の性でどれ程の人間が不幸になった事かまたどれ程の悲劇が撒き散らかされたことか。
悪の元凶は滅んだのだ。俺は喜びの余りサザエに駆け寄ろうとした。
がっ！！その瞬間！！
花沢の真っ黒の右手が、サザエの足首を掴んだのだっ！！
悪魔は滅びていなかったのだ！！
俺がすぐ隠れたのは言うまでもない。