中島追跡日記

｢げひゃひゃひゃっ！！｣花沢はロードローラーを片手で横倒しし、サザエの足首を掴んだまま、のそりと立ち上がった。
当然サザエも抵抗したが不利な体勢からの攻撃は花沢には、全く通用しなかった。
いや、今までの攻撃も効いていたか怪しいモノだ。
｢お姉さん、そこそこ楽しかったけど、この辺りが限界みたいね。じゃあ今度はアタシが楽しむ番ねっ！！｣と叫んだ瞬間バキャ！！すごい音がした！！｢ヴｧｷﾞｨｨｨｨｨｨｨｨｨｨｨｨｯ！！｣サザエの口から初めて悲鳴が出た！！
花沢はサザエの足首を、握り潰したのだ！！
骨を折るとか、間接を外すなどと生易しいもんじゃない。
たぶんサザエの足首の中の骨は粉状になってしまったのだろう。

俺は今、理解した。
花沢の最大の武器。
それは｢生命｣だ。
生命といっても、どこぞの宇宙戦艦の艦長の言う｢生命こそ暴力に立ち向かう最後の武器｣などと言う生ぬるいモンじゃない。
あの不死身のごとき生命力、あれこそ花沢を最強の存在に垂らしめる物なのだ。
花沢は怪我や病気では死なないのだ。
これじゃあ誰も勝てる訳が無い。
だって死なないんだもん。
そんな事を考えているうちに花沢が動きだした。花沢は握り潰した脚を掴んだまま、サザエの体を軽々と持ち上げると｢うがぁっ！！｣と叫ぶと、まるで重さなど無いようにサザエをすごい速さで地面に叩きつけた！！
｢ガハッ！！｣サザエが血を吐いた！！
おまけに地面もへこんでいる！！

サザエはクレーターの中心で悶絶していた。
花沢は膝をかがめたかと思うと、次の瞬間には10mほど上空にいた。まさか...
「死ねえええ!!!」と声を上げながらサザエめがけて足をつきのばす。
しかしサザエにも策があったらしく、あお向けになると血を吐きながら花沢に向かって
サザエはブリッジの態勢を取るかと思うと、逆立ち状態になり足を花沢の股間に押し当てた。
急降下してきた花沢の股間にサザエの強健な足が突き刺さる。
花沢は顔を赤くし、「グゥアアアアア！！」と叫ぶが、サザエは足を離すやいなや
花沢を地面に落とす隙もみせず鉄拳を繰り出し始めた。スラム○ンクの花沢もとい花道の様に
体を左右に高速に動かし急所を連打する。「ハアッ」と気合の間髪を入れ、上段跳び蹴りをかます。
サザエの攻撃はかなり効いたらしい。股間から血が流れ落ちている。
「グフフ・・・流石サザエ君のお姉さんね・・でもっ！！！」と言うと花沢は
サザエめがけて突進しだした。サザエと花沢は火花を散らしぶつかり合う。「勝つ！！」
体重と質量でサザエはやや劣りぎみである。サンダルを力のかぎり大地に押し当てるが、サザエは
流されてしまう。「くっ・・・！！ならば！！」
一瞬、サザエは押し倒されたかのように見えた。しかしそうではなかった。
花沢の腕をむずとつかみ、足を腹部にあて後ろへ円を描く。それは華麗な"巴投げ"だった。
今まで聞いたことのない、そしれこれからも起こり得ないような音と共に花沢は顔を地面に打つ。
サザエはふっと立ちあがり、花沢を見つめている。奇妙な形に曲った首を「ふぬうっ！！」
と元に戻す。今度はサザエの先制攻撃だった。花沢のすぐ手前でしゃがむかと思うと、左足を軸にし
右足を花沢の足にかます。花沢は先読みしているらしく、軽くとびあがる。しかし花沢の読みが珍しく
外れたようだ。サザエはゴトリと笑うと、体を回し花沢の上腕骨を破壊する。「グウッッッ」とうめくが
それほどダメージは受けていないようだ。サザエはこの技にかなりの自信をもっていたようだが
期待していたほど効いていないのを見て顔を曇らせた。

────どうなるんだっ───