中島追跡日記

｢じゃあそろそろ行きましょうよ。今日は映画見てぇご飯たべてぇその後はぁ、すっごい事するわよ｣
｢す、すごい事って？｣
磯野は泣きそうな顔をして質問したよ。
｢決まってるじゃない！！エロパロ板にふさわしい事よ。ガハハハハハハハハ｣花沢は、これ以上ないくらい楽しそうな顔をしながら答えていたよ。
そして手の中のゴミ(元花束)を投げ捨て磯野の手を強引に取るとそのまま磯野を連行していったよ。
さぁデートの始まりだ

映画館に向かう途中二人はお喋りしていた。
(正確には花沢が一方的に喋り磯野はうなずくだけ)その話の中でわかったのだが花沢の頭の飾りの正体は豚の耳なんだそうな。
最初は猫の耳を付けようとしたらしいが、小さくて目立たなかったそうだ。って本物の猫耳付けてどうすんだよ！！
そんなコスプレイヤーいねぇぞ！！
だから父ちゃんの酒のつまみの豚耳を使ったんだと。いいセンスしてるぜ。
コスパも真っ青のセンスだぜ。
そして、美容院の前に差し掛かった時、俺達はとんでもないものを目にした。
つるつる坊主の女の子が、美容院を見ながらブツブツと呟いていたよ。
ゲッソリと痩せこけ、肌も土色になっていたけど、間違いなくカオリちゃんだった。
｢あっれ～スキンカオリじゃない！最近見なかったけど、何？プチ家出？｣
よく、そういう事を平気で言えるなお前。
カオリちゃんは、無気力な表情でゆっくりと振り向いたけど花沢の顔を見た瞬間みるみる内に鬼のような顔に変貌したよ！！
カオリちゃんは小声でしきりに｢花沢ぁ花沢ぁぁぁ｣と呪いを込めてつぶやいつたいたが花沢は気にも止めず喋り続けた。
｢あんた、こんなトコで何してんの。どうせ今のあんた見て喜ぶのは尼フェチの親父ぐらいなんだから家ん中で引き篭って糞して寝てな！！ガハハハハハハハ｣カオリちゃんは花沢を睨み殺す勢いでガンを飛ばしていたが花沢はさらに
｢まぁ人間毛が無くったって死にゃしないわよ。まぁハゲはハゲなりに強く生きるのよって磯野君が言ってたしね｣
カオリちゃんは花沢に向けていた怒りと憎しみに満ちた視線を、そのまま磯野に向けたよ。
磯野は否定するように必死に首を横に降っていたが、カオリちゃんは｢二人はホントに似た者同士でお似合いだわ。末永くお幸せにっ！！｣
怒りに満ちた口調でカオリちゃんは去って行ったよ。いやぁスゴイ顔だった。
ちなみに磯野は泣いていたよ。
花沢は｢カオリちゃんが祝福してくれて泣くほど嬉しかったのね｣だと
　花沢は、泣いている磯野を引きずりながら歩いていたが突然｢映画上映まで時間があるから少し時間潰していきましょ｣と言い出し本屋に入って行ったんだ。
あの本屋、爺さんが一人で経営して、かなりの漫画本の量なんだけど立ち読みしようとするとハタキで追い払うんだよな。
そして花沢は床に腰を降ろし、白いグローブを投げ捨てるとそのまま漫画を読み出した。
｢バーン！ダダダダダッ！シュルルルチュドーン！｣ア、アイツ声出して読んでるよ・・・・
まさか花沢の奴座っているから立ち読みじゃないなんて古典的な事言い出すんじゃないだろうな。
花沢は気にも止めずデカい声出して読んでいるワケだから爺さんもすぐ気付くわけだ。
爺さんはハタキ片手に近ずこうとしたが相手が花沢と気付いた瞬間即効奥に引っ込んだ。
警察か自衛隊でも呼ぶのかと思ったら愛想笑いを浮かべながら、お茶とお菓子を持ってきやがった。
なるほどそういう事か。
この本屋も花沢の侵略を受けたワケか。
その後は爺さん、なるべく花沢を見ないようにしながら奥に引っ込んだ。
磯野を一睨みし、舌打ちしながらな。
磯野はこの店出入り禁止だな。花沢はそんなことお構いなしに、一人で大声で漫画を読んでいたよ｡
｢ガハハハハハハハハハハブヒャヒャヒャヒャ！！｣花沢はお菓子のカスをブチまけながら爆笑していた。そして、一冊読み終わるとゴミでも捨てるかのように投げ捨てやがる｡おまけに読んでる時もお菓子のカスやお茶やヨダレで本を汚し乱暴に扱う物だから、すっかり花沢の回りは汚い本の山だ。磯野はすまなそうな顔しながらも、店の隅でちゃっかりエロマンガ読んでいた｡こんな時でもないと、ゆっくりと読めないからな｡
ホント、磯野は調子いいよな｡
しかし、しばらくして花沢がふと時計を見ると突然
｢ちょっと爺ぃ！！アンタ何でこんな時間まで引き止めてんのよ！！映画に遅れたらどう責任取って区れんのよ！！！！！！｣
おい！爺さん別に引き止めていないし、映画の事なんて知ってるワケねぇだろ！しかし花沢に常識が通用するワケもなく泣いて講義する店主を尻目に花沢は、本棚を持ち上げては店の中や外に放り投げやがった！まるで店の中だけ、台風と竜巻がいっぺんに吹き荒れたようだ！！ヤクザの嫌がらせだってもう少しマシなはずだ｡
そして、散々暴れ回った揚句｢こんなシケタ店二度と来ないわよ｣と泣いている爺さんの頭に唾吐きかけて磯野を連れて店を後にした｡
爺さん自殺するかもな・・