中島追跡日記

　本屋を完膚なきまで叩き潰した後、花沢は早足で映画館に向かっていた｡
(怯えきった磯野を引きずりながら)
そして、ようやく映画館に着いた。
｢いま、あいに行きます｣
これを観るのか？
ちょっと以外だった｡
ちなみに、磯野も早川さんとのデートでこの映画を見るつもりだったらしい｡
しかし、花沢はなぜか映画館の前を通り過ぎた。
｢花沢さん映画見な・・・｣｢何でアタシが金払ってまであんな不細工見なきゃ行けないのよ｣
中○獅○の事らしい。
とにかく花沢は磯野を連れて裏道の方へ向かっていた｡
たしか、こっちには・・・
花沢達は、もう一軒の映画館に着いた｡
場末の小さな映画館だ｡
ここは花沢の顔パスだそうだ。
普段は無職の親父ぐらいしか来ない映画館だ｡
しかし、なかなかマニアックな映画を上映する所で、先日も｢シベリア超特急1～4｣をぶっ続けで上映していたぞ｡
今月は｢愛のアニマル映画月間｣だそうだ。
俺はタイトルを見た。
本日の上映は・・・・・・

｢グリズリー｣だってよ！！そして二人は映画館の中に消えて行ったよ。
俺も自腹で金払って中に入ったよ。(花沢が必要経費なんて出すワケが無い)
　普通映画館の中へはカメラの類いは持ち込み禁止だがこの映画館の中へは余裕で持ち込めた｡(ここは婆さんが一人で切り盛りしている当然持ち物チェックなんて無い)
中に入ると観客は例の二人と(わざわざ一番前)酔っ払いの親父だけだった。
俺は二人の二つほど後ろの席についた。
すると勇敢というか無謀というか酔っ払いが、なんと二人に絡んで来た！！
アルコールの力は偉大だぜ｡
｢いよ～っおふたりひゃんうらやまひぃねぇこんなところでなにしゅんだ～い
まさかナニってか？ひゃははは・がっ！！！｣
親父は最後まで笑うことができなかった。
なんと花沢は親父から酒瓶を奪い取ると大笑いする親父の口の中に(飲み口の方から)瓶を突っ込みやがった！！
瓶は喉まで到達したらしく喉が異様に膨らんでいた｡だがさらに花沢はその喉になんと平拳を叩き込んだのだ！！
親父の口は完全に塞がれているので血を吐くことができなかった。
さらに声帯が破壊されたのだろう断末魔を上げることもできなかった。
やがて親父は身動きを止めた。(僅かに痙攣はしているので死んではいないようだ)
｢さぁて、これで静かに映画を楽しむことができるわねっ磯野君ッ｣
そして映画が始まった｡　まぁ映画が始まったワケだが、この｢グリズリー｣のストーリーを簡単にいうと｢ジョージア州の国立公園に出現した巨大人食い熊と山岳レンジャーの死闘｣を描いた物語である｡
｢ジョーズ｣人気に便乗した作品と思っていただければ幸いである｡
しかし本家｢ジョーズ｣ほどすごいワケではない。
正直｢ツッコミ所満載のＣ級映画｣なのだ。
なにせこの映画、92分の内55分まで熊の全身が画面に出てこないのだ！！
しかし、花沢は楽しかったらしく熊(の手)が人を襲うたびに｢うほっおおほおっ｣と奇声を上げて喜んでいたよ。(磯野も女性隊員が下着姿で水浴びするシーンは熱心に見てた)
そしてラストシーン主人公の撃ったバズーカ砲の弾が熊を直撃、大爆発｡(その爆発がホントに凄かった)
その瞬間花沢は自らが勝利したかのように｢うおぉぉぉぉぉっふぬぅぉぉぉぉぉぉぉっっっ！！｣と雄叫びを上げていた。
呼応するかのようにケツからはへが止まる事なく出続けていた。
ちなみに興奮した花沢は磯野の首ねっこをおもいっきり掴んでいた｡
そのセイなのか磯野の顔はガミラス人みたいな顔色していたよ。
その間俺は映画館を後にした｡
この後は、二人のお食事タイムだ｡
磯野・・・最後の晩餐になるかもな。